思い出と記憶と

子供の頃の記憶はどうしてなくなる?

親子を繋ぐのは記憶かも?

ある研究によれば、成人が持つ自分の中の一番古い記憶は平均すると5歳だそうです。
ということは、大人になると5歳より前のことはほとんどみんな忘れてしまうということですよね。
でも、生まれてから5歳までって何しても楽しいし、人生で最も多くのことを学び、ほとんどの場合何不自由ない時期だったはずです。
そんなにいい時期なのになんでその頃の記憶が丸ごと無くなってしまうのでしょうか?

それはきっと、自分が成長したあとに親から話を思い出話を聞くためじゃないかと思います。
親は親で、昔自分も自分の親からそうしてもらったように、加齢で自分が記憶をなくす前に子供に昔の話をしてあげたいと思うもの。
だからわざわざ子供の頃の記憶は自然となくなるようになっているんじゃないかと思うんです。
一組の親と子が記憶を共有できる時間って意外に多くないですから、親子の時間を大事にしたいですね。

“大”認知症時代に備えて

とそんなことを想うとなおさら、記憶力のありがたみが感じられます。
日本では認知症が国民病になりつつあり、とても身近になってきています。
2025年には最後の団塊の世代と言われる人たちが75歳になり、労働力や社会保障費に関する問題が深刻化するため”2025年問題”と呼ばれています。
その75歳以上の方々が皆さん元気ならまだいいですが、なんと高齢者5人に1人が認知症になると言われその数700万人にもなると言われているんです。
年齢に関係なく、普段から脳を鍛えて予防しておく必要があるわけです。

毎年9月は国際的にアルツハイマーの啓蒙月間。
ぜひこれを機会にこの”記憶”ということについて知っておいてみませんか?

人間は忘れる生き物だ

エビングハウスの忘却曲線

“人間は何かを学習しても20分後には42%、1時間後には56%、1日後には74%、1週間後には77%の内容を忘れてしまう”。
これはドイツの心理学者へルマン・エビングハウスが1885年に提唱した説で、“エビングハウスの忘却曲線”と呼ばれます。
古い研究ですが人の記憶力に関しては今も昔も一定の信憑性のあるデータです。
要はとにかく人間って、1日も経てば1/4のことしか覚えていられないため、エビングハウスも”人間は忘れる生き物だ”と言い残しました。
おまけに社会の便利度は加速していく一方ですから、人間はもっとダメになっていくのかと悲観的にもなってしまいます。

一方で心強くいさせてくれるのが、人間に備わる“復習の力”です。
エビングハウスの忘却曲線をベースにした研究は近年もされ続けており、中でも最近ではカナダのウォータールー大学で実施されたものが有名です。
それによると“人間は学習した内容を24時間以内に10分間復習すればその記憶が100%戻り、さらにその後1週間以内に5分間の復習、1ヶ月以内に2~4分の復習で記憶はそれぞれ100%に戻る”そうです。
つまり何度も復習すればその物事が記憶として定着し、忘れなくなるということ(言われてみたらそりゃそうなんですが…)。
なお、こういう風に体に染みつき習慣化した記憶を“手続き記憶”と呼びます。
例えば、お酒を飲みすぎて記憶がなくなるほど酔っ払ってしまっても家には枯れるのもこの手続き記憶のおかげだそう💡

学習したこと体験したことを常に思い出して復習することで、習慣化できれば理想ですよね。

思い出すだけで幸せになる

普段あまり使わない言葉を使おうとすると、脳のデータベースからその情報を思い出すために脳が刺激されます。
ですが、実は単に”昔のことを思い出して懐かしむ”という行為でも、脳が活性化すると言われています。

“昔のことを思い出し懐かしむこと”を言い換えると”回想”です。
英単語で“ノスタルジー”と言った方がピンとくる方も多いかもしれません。
大人になったあるときに、子供の頃に好きだった歌を聴いたり、子供の頃に好きだった食べ物を食べたりするとふと湧き上がってくるあの感覚、なんともいえないあの感情です。

“過去の思い出に逃げる”とか”過去の栄光にすがる”なんて言う表現もあるので、過去を思うことって現実逃避やネガティブなことに聞こえますよね。
もちろん何かに失敗したときのことや人間関係で悪いことがあったときのことなど、いやな過去を思い出すのは精神衛生上よくありません
でも、いい思い出を積極的に回想するのは脳にプラスになるんです。
なぜならそういうとき脳内には“主観的幸福感”という幸福感が湧くからです。
主観的幸福感が高くなるほど生活習慣病のリスクもストレスも減りますし、情報の整理を行う脳の海馬の中で神経細胞の神性が促されるため先述の通り脳を活性化します。

“いい思い出”に浸ろう

では“思い出す”という行為を具体的に言うと、どういうことなのか?最後にお話します。

“思い出す”とは、”過去のあることを最後に思い出したときのことを思い出すこと”です。
例えば5歳の誕生日を20歳になったとき思い出したとしたら、30歳になった自分が5歳の誕生日を思い出す時は、20歳の頃の自分が5歳の誕生日の記憶を思い出しているときのことを思い出している、ということ。
だから過去を思い出すたび少しずつ元の体験は薄れ、変わっていってしまうというわけなんです。
そしてポジティブな性格の人は、過去を思い出すたびそれをいいものだるので、過去はどんどん美化されます(いい意味で)。
反対にネガティブな性格の人は、過去をどんなにいい過去だったとしても“あれは実はそんなによくなかったんじゃないか…”と“嫌な思い出”に変えてしまうんです。
いい思い出を思い返すことは脳にいいことですから、やはりプラス思考でいたいですよね。

たまにはリラックスして過去の思い出にのんびり浸りませんか😁

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