Wi-FIを気にするどころじゃない、もっと大事な木の話

明るい森と暗い森

メディアのイメージに騙されない…現実の森

光が届かないほど木々が生い茂る森を見ると”なんて豊かな自然なんだ”と思う方もいるかもしれません。森の精でも出てきそうな神聖なイメージが浮かぶかもしれません? 多様な動植物が生息して、映画のワンシーンのようですよね。

でもこういう森は、メディアが作ったイメージであることをまずは覚えておいてください。現実は、単なる暗い森です。そこが観光名所じゃない限り、そんなところに入っていきたいと思う人は多くはないような気味も悪くなる森です。

とくに日本の森は、どんどん暗くなっています。なぜでしょうか?

なぜ暗い? 森林大国日本の森

まずは生活の変化です。昔ガスや電気がなかった時代には、人は生活のために森から木を切り薪を作って火を焚べていました。つまりは、人も明るい森作りに多少は貢献していたということにもなりますが、便利な生活になるにつれ、自然の木々を生活に使用する人の数は減少しています。

それから林業衰退気味で、国内の森林資源は理想的な消費がされていないため手入れがされず荒廃してきていているという切実な現実的要因があります。
日本は国土の約70%が森林に覆われた森林大国ですので、身近に国産の木でできた物が溢れているイメージがありますよね。でも実は木材製品のほとんどが中国や東南アジアの木材で、日本の木は使われないまま森に残り続けてしまっているんです。

森林と人もうまく共存すべきだ

木々が伸び放題・生え放題では光が入りづらく、森は暗くなりますが、ただ明るさの話だけではありません。暗い森は土砂災害を起こしやすくなり、木々の葉は光合成できず二酸化炭素を吸収する働きが低下してしまいます。

本来であれば、木や土に日光が行き届くよう定期的に計画的な間伐を行うことが理想です。間伐で発生した木材を利用して製造されれば、無駄や不必要なことの一切ない製品になります。さらにこうした国産木材でできた製品を購入すれば、木材提供の大元である林業が活性化され、森林サイクルが回り始めます。そして森林サイクルが回り森林が健全に育てば育つほど、温室効果ガス二酸化炭素は吸収され、土壌は土砂災害などが起こりづらい強固なものになります。木を倒すことのすべてが森林破壊になるのではなく、人の力で管理することも明るい森作りにはある程度必要だということです。

消費者として国産の木材製品を優先するべきこと

なんでも合理的な考えの結果、見ていないもの…

先述の通り、日本は国土面積の7割が森林です。にも関わらず、国内の木材供給量の約80%は中国や東南アジアなど海外からの輸入材というのが現実。現地で採った木をそのまま現地で加工することも多いと言います。どうしてこんなに木があるのに、自国のものを使わないのか? 理由は当然、海外産の方が、コストにメリットがあるからです。

でもここで消費者としても注意しておきたいことがあります。それは海外産の木材は、その資源の保護環境がどうなっているのか不透明な部分が多いことです。製造コストにメリットがある国では往々にして、儲けのために資源管理や保護を後回しにすることもまだまだ実際にあるようです。簡単に言えば、目先の利益のために環境に負荷をかけているということ。資源提供者がその管理にどのように取り組んでいるかは、把握しておきたいところですよね。

エシカル思考で消費しよう

日本の木の品質がいいのは分かっているけれど、大量・安いのファスト社会では国産が選ばれるばかりではなくなってきています。

品質に注目すれば、環境が変わるはずです。今一度改めて“安い・無難”より”一生使えて愛着が持てる”を選択するべきではないかと思います。国産木のものを選べば、自分の心も満たされるし、その行為は日本を元気づけることになり、さらに環境負荷低減に貢献することにまでなります。
消費者側の人間も、こうしたエシカル消費マインドを持っておきたいですよね。

世界の森林は?

世界は世界で問題がある

世界の森林の面積は約40億6,000万ヘクタールです。多く感じますが、陸地全体に対する割合でいうとわずか31%です(FRA2020=世界森林資源評価2020による2020年度調査の結果)。

しかも、毎年減少しています。年間に減少している森林の面積は約1,000万ヘクタール=北海道の約1.2倍の広さです。1990年から2020年の30年間で減少した森林の総面積は約1億7,800万ヘクタール=日本の4.7の広さでした。

森林減少の主な原因は違法伐採、過剰伐採、焼畑農業、事業開発、火災と言われますが、このうち、自然の力によるものはせいぜい落雷や自然発火によって起こる火災のみです。ほとんど全てにの原因が、人によるものです。でもこれがいかに皮肉なことか、お気づきでしょうか? 森林がなくなると動植物の生態系が崩れるとよく聞きますが、人類にだって、森林に頼る生活をしている人たちが現代にも約16億人いるんです。森林がなくなればその人々は暮らしや文化を失い、貧困に陥る可能性があるわけです。人は自分の手で自分の首を絞めているということなんです…

意識を持ち直そう

最後にジョークを一つ紹介します。

ある科学者が、木が酸素だけじゃなくWi-Fiも生み出せるようになる研究をすると言い出しました。
理由は、“そうなればもっと人間が森林を大事にするから“。

自然環境よりネット環境を重視する人間への皮肉が込められたブラックジョークです。

でもWi-Fiどころじゃなく、笑い事でもありませんよね。
健全な森林をしっかり人間が守って再生していきましょう!

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