醤油屋の、技術は盗めても味は盗めない理由

醤油蔵とともに味も絶滅してしまう

働き手不足などの理由からここ最近では毎年30前後の醤油蔵が消滅しているそうです。
1955年には6000あった醤油蔵が、2021年には1066社に減っています。
(出典:しょうゆ情報センター)

ある醤油蔵がなくなれば、そこで作られる醤油味の再現は不可能と言われます。
つまり蔵と共に味は絶滅するということ。
なぜなら、醤油作りの技術だけでは伝統の味が作れないからなんです。

その理由は、もろみ熟成を行う木桶や蔵の壁・床・天井そのものに棲みついている発酵菌と呼ばれる微生物の存在にあります。
この微生物やその胞子が醤油に入り込み発酵を促進してくれることで、醤油の命とも言える風味が醸し出されるからです。
つまり醤油の味を盗むにはこの微生物ごと必要なので、木桶どころか蔵まで盗まないといけないというわけです。
例え原材料も真似して職人も全員連れてきたとしても場所が違えば再現は無理ですよね。
微生物の種類や数は超重要なんです。

自然の重要性

それからよく天然酵母と聞きますが、それにも環境が大きく影響しています。
伝統的な熟成蔵には空調がありません。
熟成は自然の環境下で最低でも1年以上かけて行います。
これがいわゆる天然酵母と呼ばれる条件です。

ちなみに現代の大手醤油製造企業さんは、熟成工程にステンレスや樹脂のタンクを使用し、菌を人工的に添加します。
空調管理もするので6ヶ月程度で発酵工程も完了するそうです。
まさに大量に早く安く作る、ですね。

少量で時間はかかっても伝統的に作られる醤油には自然のよさが詰まっています。
毎日使う調味料だからこそ、ちゃんと知ってから選びたいですよね♪

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