現代人の集中力とスマホの危険な関係性

集中力の持続時間

集中力の持続時間ってどのくらいか、ご存知ですか?
これに関しては数えきれない研究がされてきていますが、結論としては明確なセオリーにまとまっておらず、諸説あります。
まとめると、作業内容や精神状態、環境により異なるのだと思いますが、一般的に短くて10秒、長いと90分となります。

短期的で無意識に近いような状態の場合は、最短で10秒程度しか持たないともされます。
最近オンライン上で流れてくるインターネットCMは5〜15秒程度が平均ですが、それは短い10秒に合わせた理由。
かなり短いですが、スマホで動画などを見ているときは確かにありそうな秒数です。

対して意識的に取り組む作業などは、長ければ90分程度持つこともあるとか。
大学の講義などが90分なのも、長い90分に合わせた理由です。
大体50分から長くても90分が、人間が手中を継続できる時間とされています。

でもこの集中力も、全体的に持続時間は短縮傾向にあるとされているんです。
もっと具体的に言えば、現代のオンライン社会化で人間は集中すること自体が決定的に苦手になっています。
そしてその最大の原因はスマホです。

スマホは集中の敵

2017年、アメリカ・カリフォルニア大学で、スマホが集中力に与える影響度を調べる研究がされています。
実験では学生に知能試験を受けさせる際、スマホを次のような3つの状態にさせました。

①スマホを机の上で裏返しにして置く
②スマホをポケットまたはバッグに入れる
③スマホをほかの部屋に置く

結果、スコアがよかったのは③②①の順番でした。

そしてこの研究で具体的にわかったことは、スマホという存在自体が目に入るだけで集中力は削がれてしまうということです。
スマホがあると集中できない…という経験誰にでもありますよね。
これは紛れも無い事実で、やっぱりスマホは現代人の集中力の敵といえそうです。

では、集中力が途切れてしまったら、それが回復するのにかかる時間はどのくらいでしょうか?

集中力が回復するのに必要な時間

作業中ふとスマホが気になり、つい見てしまうことってありますよね。
そんなとき心では、少し見たらまたすぐ作業に集中すればいいや、ときっと思っているのではないでしょうか(多くの場合その”少し”が少しじゃなくなるんだと思いますが…)?

でもそもそも、一度気になり手にしたスマホを元に戻しても、またすぐに作業に集中できるほど、人間の集中力って都合のいいものではありませんよね。
それがわかるのが、2008年に米・カリフォルニア大学アーバイン校で行われた集中力の回復に関する研究です。
この研究で、何かに集中している状態がふと途切れた場合、再び同じ深い集中状態に戻るまでに平均して23分かかるということがわかりました。

一度作業の集中が途切れたら、回復までに23 分です。
現代では集中力をじっと継続させることって、言うまでもなく難しいですから、何か作業をするときは途中で集中力が切れることを前提にして、”途切れたらそのあとの回復時間は23分”という事実も考慮しながら作業計画を立てないといけないのかもしれません。

集中力のピーク…?

ちなみにこんな研究もあります。
集中力が最も高まるのは何歳ごろなのか?

2015年にアメリカ・マサチューセッツ工科大学が、10〜90歳の数千人を対象に大規模な研究を行いました。
結果、人の集中力のピークは43歳ごろだということが判明しました。
人は若い頃の方が情報処理速度や柔軟性に優れている一方、集中力は加齢により向上しピークが人生の真ん中くらいなんだそう。

でも、これからの時代はどうなるかは分かりません。
というのもやはり、スマホの存在があるからです。
今後の未来、スマホと共に生まれ育つこれからの世代の集中力も、果たしてピークが43歳でありつづけるのか?はたまた人間に集中するという能力はちゃんとこのまま残り続けるのか?分かりませんよね。

これからどうなっていくのでしょうか…

根本的な問題はスマホじゃない

そうなってくるとまるで、”スマホがまるで悪”のようです。
”スマホをスマホと呼ぶのはふさわしくない。なぜならスマホを使えば使うほど、人間はスマートじゃなくなるからだ”
…というような冗談もよく聞きますよね。

最近では、文部科学省が小中学生の学力についてこんな発表をしていました。
”SNSや動画視聴など(学習やゲームを除く)の利用時間が長いほど成績は下がる…”
教科ごとの正答率は低くなり、”4時間以上利用すると30分未満するより小6で17~18ポイント、中3で13~19ポイント低くなったそう。
だから家庭でのスマホの適切な使い方についてルール作りが必要だ、という内容です。

…でもですよ、こんなにスマホがないと生きていけない社会を作っておいて、ダメ人間が増えそうだからと言って今更スマホを槍玉に挙げていることについてはちょっと違和感を感じませんか?

子供だけじゃなく大人もよく、”ネットドラマを見ていて寝るのが遅くなった”とか”スマホが気になって勉強できない”とか言いますよね。
SNSの見過ぎはメンタルによくないなんていう情報もよく耳にします。
でもそれって結局全部、自制心の問題。
ナイフは食材を切るのに欠かせませんが、使い方次第では凶器にもなります。
そしてそれを区別するのは、使い手である人間ですよね。

スマホは危険だ、と思っている人に限って”わざわざ寝る前にちょっとだけね”とか言ってスマホを見たり、トイレにスマホを持って入ってたりしていません?
そもそもの問題に気づかないとですよね💡

まとめ

集中力の持続時間は環境や作業内容によって異なりますが、無意識の状態では最短で10秒しか持ちません。
ただ現代社会では、集中力がさらに短縮傾向にあるとされ、その最大の原因はスマホだと指摘されています。
というのもそれは、スマホが目に入るだけで集中力が削がれることがわかっているから。
一旦集中が途切れると、回復するのに23分かかることも明らかになっているため、仮に何かの作業中少しスマホが気になったとしたら、生産性は大きく低下することになります。2015年の研究では集中力のピークは43歳くらいということがわかっていますが、これからの時代、こうしたスマホの影響によっては変化していくことも予見されます。


一方で、スマホの問題は根本的には自制心の問題であることも認識しておくべき。
実際に注意すべきなのはスマホの存在自体ではなく、それを扱う人の個々の自制心です。
スマホの存在が集中力に悪影響を与えるという事実はしっかり理解しておきつつ、自制心を鍛え適切な使い方を心がけたいですね🌱

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です