86400秒の贈り物

86,400という数字が持つ意味は?

時間銀行

”時間銀行”という銀行があります。

その銀行のあなたの口座にははこれから毎日、86,400円が振り込まれます。
でももしその日のうちに使い切らなければ、もう86,400円は振り込まれません。
さて、あなたはどうしますか?
もちろん、何がなんでも毎日86,400円使いますよね?

ではこれが、86,400秒だったらどうですか…?

1秒1秒を無駄にしていないか?

ここで肝心なのが、86,400って一体何の数字かということですよね。

86400秒とは、1日のことです。
1日は24時間、1,440分、86,400秒…

ということであなたは、毎日86,400秒を無条件でもらっているんです。
これが86,400円だったら、毎日もらうために何がなんでも毎日使い切ると言いますが、それと同じくらいの気持ちで、毎秒を使い切っていますか?という話です。

忙しい毎日にふと、人生の大切なものを気づかせてくれる数字でないでしょうか?
きっとあなたがこの数字に出逢いその意味を理解した時、少し立ち止まってゆっくりしなさいと、あなたを導く力が言っているのかもしれません。
お金と同じように、惜しみなく迷いなく毎秒を全力で有意義に使わなければ、と考えさせられちゃいますね。

Elenorの伝説的スピーチ

贈りものの散文詩

ところでこの”時間銀行”の話の出典は、不明と言われています。
日本語翻訳文を含め多言語に翻訳されていて、中には微妙にアレンジされたものもあり、現代のオンラインの世界であちこちを彷徨っている不思議な魅力のある散文詩です。

ただ、アメリカ合衆国第26代大統領Theodore Roosevelt(セオドア・ルーズベルト)の夫人、Elenor Roosevelt(エレノア・ルーズベルト)がスピーチで話した内容でもあるようです。Elenorのスピーチがオリジナルだ、という人も多数います。
でもどうしてElenorが話したことなのに、これが彼女自身の言葉であるということが確実じゃないのでしょうか?
それは、Elenorが誰かの文を引用した可能性があるからに他なりません。
というのも、このときElenorが行ったスピーチでは、最後を締めくくるある印象的な4行の言葉があり、その部分もまた別のある作家の言葉を借りているんです。

その最後の4行はの次の散文詩です。

Yesterday is history.
Tomorrow is a mystery.
Today is a gift.
Isn’t that why we call it the present!

昨日は過ぎ去りもう過去のこと。
明日はまだ見ぬ謎のこと。
今日は授かりもの。
だから”今”をプレゼントと言うんですね!


少し英訳を解説します。

英語でgiftは贈り物。
少しかしこまった印象かつ価値のあるものを、目上の人から目下の人へ贈る贈りものを指します。
同じくpresentも贈り物。
presentは、特に決まりなく誰にでも与えられる贈りものという意味と、それ以外にという意味もあります

つまりこの詩は“今”っていう瞬間があなたへのプレゼント”なんだよ、と言っているわけです。
こちらもこちらで、時間の大切さを感じる素敵なメッセージですよね。

長い名前の本の引用…

実はこの4行詩の出典はわかっています。
これは作家Alice Morse Earle(アリス・モース・アール)が、”Sun Dials and Roses of Yesterday: Garden Delights Which Are Here Displayed In Very Truth And Are Moreover Regarded As Emblems”という本(長い名前!)に書いた詩です。
これをElenorがスピーチの時に引用したのですがそれが有名になりすぎてしまい、今ではAliceのものと知る人の方が少ないかもしれません。

ちなみにこの長い名前の本は1902年に出版された本です。
Elenorのスピーチがいつされたものかの正確な時間はわかりませんでしたが、ファーストレディだった時のものだったと言われています。
夫のTheodoreが大統領だったのは1901年9月から1909年3月ですので、当時としては割とタイムリーだったのだと思います。

さらに余談ですが、この本は、日時計の研究書のような内容で庭園の写真や研究の図などもたくさんイラストされていて、588ページあります。名前も長いしボリュームもあるし、印象に残りますよね。

あなたは大切に過ごせている…?今という贈り物を

Elenorは、1日は86,400秒という数字をあげて人生の大切さを話したあと、最後にこの4行を言いました。

86,400の時間銀行のエピソードについてはいまだに出典は謎めいているとはいえ、とてもメッセージ性のあるスピーチであることには違いありませんよね。
みなさんは今、毎秒を大切なプレゼントのように受け取り過ごしていますか?

最後に…以下にスピーチ原文の和訳を載せておきます。

毎朝あなたの口座へ86,400ドルを振り込んでくれる銀行があるとしましょう。
ですがあなたが86,400ドルを使いきれなければ、その口座の残高は毎日リセットされるとしたら、どうしますか?

もちろん、毎日86,400ドル全額を使いますよね!

実は私たちはみんな、同じような口座を持っています。
その口座にあなたは、毎日86,400秒が与えられてるんです。
未来に残すしておくことはできません。
繰り越しも貸し越しもできません。
あなたがそれを使いきれなければ、なくなってしまいます。

1年の価値を理解するには、浪人した学生に聞いてみるといいでしょう。
1ヶ月の価値を理解するには、未熟児を産んだ母親に聞いてみるといいでしょう。
1週間の価値を理解するには、週刊誌の編集者に聞いてみるといいでしょう。
1時間の価値を理解するには、待ち合わせをしている恋人たちに聞いてみるといいでしょう。
1分の価値を理解するには、電車をちょうど乗り過ごした人に聞いてみるといいでしょう。
1秒の価値を理解するには、たった今、事故を避けることができた人に聞いてみるといいでしょう。
10分の1秒の価値を理解するためには、オリンピックで銀メダルに終わってしまった人に聞いてみるといいでしょう。そうこうしている間に、今日すでに31,500秒が過ぎました。残りは54,600秒…

昨日は過ぎ去りもう過去のこと。
明日はまだ見ぬ謎のこと。
今日は授かりもの。
だから”今”をプレゼントと言うんですね!

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