食器と食育の関係性

食器も食育の大事な要素の一つです。

食育で学ぶべき対象といって真っ先に上がるのは食材の知識や料理の仕方。次に、食事の摂り方や時間。
ですが、食事をする空間や環境も大事です。そのうち、環境というところで言うと、”食器” もとても大事な環境要素の一つです。

現代、丈夫なのに安価な食器はたくさん売られています。
しかもおしゃれな見た目のものまであって、それならと思い購入しますよね。
仮に割れても、安いからまた買えばいいや、とさえ思っていると思います。

あなたが食器をそのように買っているとしたら、聞いてみたいです。
あなたは食材も、同じような理由で買いますか?

傷もなく色も良く大きくて、なのに安い。
実際食べてみて美味しくなくても、安いからまあいいや。

と思いますか?

大量に生産され流通される食器には、鉛が使用されていることがあります。
鉛は人体に大量に入り込めば健康に深刻な影響を与えますので、口に触れる食器類については特に気になるところです。
2009年の食品衛生法改定によって食器の鉛含有量基準は大幅に下げられ改善されましたが、食器は食品のように一般への原料開示の義務がありませんので、含有量どころかそもそも鉛の有無すら一見ではわからないんです。
中国などの外国からの輸入品は日本の厚生労働省の食品検査をクリアすることが条件となっていますが、安全性について不信感ゼロとは言えません。

生産者にとって、鉛を使うことのメリットは当然あります。
製造時に食器を焼き上げる時、その前段階で表面に塗る釉薬(コーティングの一種、のようなもの)を低い温度で溶かせること、が主にそうです。
そうすると焼き上げにかかる光熱費が抑えられるからです。

焼き物の原価は母体となる土、釉薬の元となる灰や金属、作業にかかる光熱費、といった具合にシンプルで限定的です。
その中でとにかく売るためにコストを削りたい、という苦肉の策で、鉛が大量に使われ始めたのかもしれません。

結局のところ、かつて日本が誇った焼き物の文化が、”安い・早い・大量”のファスト社会に流されてしまったということですよね。

今、価値観の転換機ですから、食育を通じて改めて、焼き物の食器とその価値を見直しましょう

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